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Daniel Goldsteinは、行動経済学者で、経済活動における意思決定を研究している。過去と将来、どちらもよりよくなるための意思決定の方法として、Commitment Devicesとコンピュータを使った貯蓄シミュレーションの紹介をしている。
Commitment Deviceとは、自分を追い込むために退路を断つことがあるが、この退路の断ち方こと。日本では、Commitment Deviceとしてよく知られているのは、背水の陣。
Danielは、Commitment Deviceの例として、冒頭でギリシア神話のオッデセイの話を持ち出している。トロイ戦争の帰途、近道をする。海路にはそこにはひとたび歌声を聞くと誘い込まれて海の藻屑と消えるサイレンスという美女がいる。オデッセイは、マストに自らを縛りつけることで、歌声は聴くけど海路は進むという選択をする。
TEDで難しいなあと思うのは、こうした西洋人だったら普通に知っているはずの知識がないために、さっぱりわからないことである。むしろ、科学技術や経済などのその道の一人者の話ではあるが、こうした内容は、聴衆が門外漢であることを前提に話しているので、専門用語が問題となることはあまりない。
DanielのTALKの後半で、ヒューリスティックな貯蓄シミュレーションシステムについてデモを交えているが、このシーンを言葉だけでこのTalkを聞いていない人に説明するのは、よい訓練になった。
私自身は、プロのサポートエンジニアであるので、電話だけで目の前にいない相手とシステムの挙動について会話することが日常的である。そのため、こうした言葉だけでシステムの動作を説明することは普通の人より長けているつもり。それでも、システムの入出力、順序や同期について説明するのは骨が折れた。ましてや英語でやろうとすると二重苦でしかない。
Japanese Native SpeakerでTEDを英語の教材として利用している人は、このTALKは、こういった二つの意味で訓練としてはかなりお薦めです。
TALKの中で紹介している最新の貯蓄シミュレーションシステムでは、若いときの顔写真を入力し、総収入に対する貯蓄率を操作すると、若いときの顔と引退するときの顔の両方の表情が変化する。なお、引退時の顔は、若いときの顔をベースに合成される。
このシステム、Smartphone用にインプリされているらしい。わずか数ドルで手に入るとのこと。使ってみたいかって?シミュレーションする以前に、年をとったときの顔を見たくないな。
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