Everything new gets old.
家の壁に祖父のポートレートを飾っている。もう30年ぐらい前の写真だから、随分退色してしまっている。小高い丘に立っているもので、祖父のお気に入りの一枚だった。
祖父はいわゆる大陸育ちで、内地に戻ってからもことあるごとに、日本はせせこましいといい、海外へ出かけて見聞を広めることが如何に素晴らしいか子供や孫に説いてまわった。外国旅行が大好きで、仕事でソ連に行ったほか、南アフリカ、カナダにも出かけた。
私は時間ができると、あちこちフラフラと出かけてしまう。これは祖父の影響かもしれない。
写真をとった場所は、てっきりソ連だと思っていたが、実はトロントだった。祖父がなくなってだいぶ経ってからカナダ育ちのいとこが教えてくれた。
Take This Waltzの舞台はトロント。ちょうどWebや雑誌などあちこちで紹介させていたのを読んで、どんなところなのかとても気になったので観てみることにした。
率直な感想であるが、ストーリーは、残念ながら、私には共感できるものではなかった。だけどハンサムな男性の間で揺れ動く女性の心というのは、いつの時代も女性の心捉えるのだろう。そういう意味では、ある種のおとぎ話なんだろうな。会場はほとんど女性、しかも落ち着いた感じのお一人様の女性で埋め尽くされていた。
MargoがDanielにいうせりふ。"I want to know what you'd do to me"これにぐっと来た女性も多いはずだ。義理の姉(だった)PollyがMargoに言う”新しいものは何だって古くなる”と半ば自分に言い聞かせるようにいう方が含蓄があってよかった。
それから、Louを演じていたSeth Rogenは、自分が幸せな結婚をしていると信じている鈍感な男性を好演している。「何か話しましょ」と振られて、「なぜ?君の事は全部わかっているよ。一緒に暮らしているして、お互いわかっているじゃない」と晴天の霹靂のごとく言うのは万国共通だ。だたSeth Rogenのすごいところは、要所要所で動きがきびきびしていて、この人、たぶん5年前の結婚したころは、相当ハンサムでカッコよかったんだろうなと想像させてしまうところがすごい。とにかく表情が豊かで、MargoがDanielへの思いをうちあけたであろう後の長いカットで、ほとんど表情の変化だけで演技しているのはすばらしい。
この映画ストーリーを抜きにしてもトロントという街はとても素敵な街だ。夕日がとても綺麗な街だ。湖のほとりで寝そべりながら、のんびりと眺めることができたら最高だろうな。それにしても、おじいちゃんが立っていた小高い丘はどこなんだろうね。
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