Friday, February 3, 2012

Speech Communication Instructor / 気のみじかい人には勤まらない職業

今日のLessonでは、フリートークで、ちょっとした冒険(*)をした。週末に見たNHKスペシャルの「ヒューマン なぜ人間になれたか」の話をすることにした。

(*) いつもはその週の出来事について話をする

番組のテーマである「心の進化」とRobert WrightのEvolution of Compassion / the Golden Rule との関連について、番組で紹介された数々の検証を織り交ぜて話すつもりだった。

話し出してみると、想像していたより表現が難しくて、なかなか話を前に進めることができない。どんどん時間だけは過ぎていく。というジレンマで泣きたい気分になった。

フリートークなのに随分重たいことを初めてしまったと後悔した。ちょっと考えてみたら、こういった、複雑な話は、日本語でもあってもかなり難しいのに。あまりにも向こう見ず過ぎる。

しかし、先生は、要所要所で話を遮って、「今の文、もう一度言ってみて」、「今何て言った?」、「殴られる人と見ている人は同じ場所にいる?」と質問をして、生徒に言い直したり、説明を追加したり、話を組み立てなおしたりするチャンスを与えて、上手に話を前に進めていった。

すると、どうにかこうにか10分くらいかけて、ようやく語り終えることができた。
私は言いたいことを表現することができたし、しかも相手にも伝わったという二重の満足感が得られたわけ。

話しているときは、あまりにも自然だったので気がつかなかったが、後から振り返ってみると、そうか、こういう人の能力の引き出し方(テクニック**)もあったのかと感心した。

  (**) これって質問力っていうんだろうな。あまり○○力って言葉は使いたくないけど。
それにしても先生のコミュニケーション能力の高さには、驚かされることが多い。


相手を否定しないで、率直に畳み掛けていく。文字にしてしまうとわずか20文字だが、いざやろうとすると相当難しい。

訳のわからないことを言っている相手に対して関心を払って聞き続ける根気、相手の言葉を待つのかそれとも質問を挟むのかの適切な判断、どんな時も相手を対等に扱うモラルの高さ。

コミュニケーション能力の高さって、知性の高さなんだと思う。

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