マイケル・ファスベンダー主演の
映画Shameをみた。映画を見に行くのはとても久しぶりだ。
Webに流れている予告編をみて、どうしても見ておかなくてならないと行く気になった。仕事を終えて東海道線に乗り込んだら、事故でしばらく停車した。結果的にレイトショーで見ることになったのだけど、ほとんど劇場を独り占めして見るような感じで、よかった。
見ようと思った理由は二つ。
グレン・グルードのバッハのBWV855がよかった。グルードのバッハはすばらしい。だけど、他人には奨めない。グルードのバッハは、人の不安感をあおり、落ち着かなくさせる。心の中にざわざわと漣が立つような感じ。主人公の心の不安定さを表現するのにこれほど、マッチした演奏はないだろうな。
仕事仲間に息を呑むほど美しいブルーグレーの瞳の持ち主がいる。光線の加減や顔の角度、感情によって瞳の色が違って見えるのだ。非常に明るいブルーに見えるときもあれば、ダークカラーに見えることがある。あるとき、写真に写っている姿をみて、別人に見えて驚いた。あまりにもきれいなブルーアイだった。ダーク・ブラウンの場合、いつどこで見ても、ダークブラウンなんだけどね。
マイケル・ファスベンダーがダーク・ブラウンの瞳の持ち主だったら、これほど空虚感を表現できなかったかもしれない。映画の冒頭、彼は、青いシーツに横たわっている。瞬きせず、身じろぎせず。虚空を焦点の合わない目で見つめている、このブルーグレーの瞳がなんともよいのだ。
"Brandon, it's me. pick up, pick up" (ブランドン。私よ。電話に出て、出て)
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